前回の続きです
電波で人々をコントロールしている操り主から、テレビを経由してコミュニケーションを取っていたヤニドレイ。 操り主から、悪魔崇拝をしている秘密結社の存在を知る。
そして、その秘密結社と戦うために旅をすることを求められ、深夜に家出をしたヤニドレイ。
果たして…
深夜3時、住んでいたマンションのゲートを通り、赤色に表示してある歩行者用信号が見えました。
私が信号に従い、待とうとした時でした。
急に赤から青に変わりました。
(テレビだけじゃないんだ…) 私は少し恐怖感を覚えました。
荷物の中にある、小型ラジオを取り出してイヤホンで聞きました。
「不思議なことがたくさん起こりますね。信号機のこととか」
(はい…、味方ですか?)
「もちろん!」
私は目的地もわからないまま、ひたすら歩きました。
歩いている途中雨が降ってきました。
しかし、歩みを止めずに、引き返しもせず、誰と戦うべきなのかもわからないまま、道路をひたすら歩きました。
「ナンタラカンタラ、その調子ですね。海に行きましょう。海岸沿いはいいですね。ナンタラカンタラ」
海岸沿いに行くことを決めました。
雨は止みそうもないですが、景色が少し明るくなってきました。
(朝なのかな…)
「時刻はちょうど6時を回りました。おはようございます。ナニナニ放送、アナウンサーのナントカです」
(もう朝か。どこに行けばいいのですか?)
「ナンタラカンタラ、そのうちわかりますよ」
「そうやって迷うのも大事ですよね。ナンタラカンタラ」
男性の声と若い女性の声がラジオから聞こえました。
海岸沿いに着きました。雨に濡れて肌寒く、全身が冷えてます。
海岸沿いの道路をひたすら進みました、標識を見たら隣の街まで来ていました。
「時刻は、午前10時になりました。この調子で頑張りましょう」
(腹が減った…。ふらふらだ…。しんどい…)
そう考えたあと、空車のタクシーが近くに停まりました。
「辛いのなら。逃げることも必要ですよ!ナンタラカンタラ」
「ナンタラカンタラ。人間休むことも必要ですよね!」
(このまま進みます)
そう考えると、さっきのタクシーは私を追い越して進みました。
空腹感がひどく、眩暈もしてきました。 飲み物も昨日から飲んでおらず、喉も渇きました。
(目の前にコンビニがある…。とりあえず入ろう)
コンビニに入り、カゴに飲み物と食べ物を入れました。
近くの本売り場にふと目をやると、自分が持っている本が何冊もあり、怖くなりました。
レジに行くと、財布が無いことに気付きました。 家を出る時に財布を持たなかったのを思い出しました。
買えなかったので 「すみません。田舎から来たので、システムがわからなくて」
と、意味不明なことを言った記憶があります。
店員さんは無言でした。
コンビニを出て、ラジオを聞きます。番組が変わり、大物芸能人Aがパーソナリティの番組でした。
「だからいつも私言ってる。飯を食わない奴は馬鹿だって」
「そうですよね!あはは」
もう1人の主演者のアナウンサーが笑っていました。
(きつい。家に帰りたい…。帰ろう…)
家に帰ることを決めました。
その途中、通行人のおばさんにここは何市と日付を聞いていました。
おばさんは警戒したような顔をしていました。
(家までの帰り道がわからない…)
警察官とすれ違いました。 聞くのをためらいましたが、警察官に声をかけました。
「すみません。ここは何市のどこで、今何時ですか?」
「ここはナニナニ市のナントカ町。君、どこから来たの?身分証持ってる?」
「ヤニドレイです。財布を持っていないので、身分証は持ってません」
「ちょっと近くまで来てくれる?」
「わかりました」
警察官について行き、地元の警察署まで行きました。
「ここで待ってて」 言われたので待っていると、数分後に両親が暗い顔してやってきました。
両親も私も無言で家まで帰りました。
つづく
続きです